光明院山門改修工事



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光明院山門改修工事趣意書



 檀徒各位

 当山山門は、幕末の安政5年(西暦1858年)、第15世住職亮寛によって造立されました。以来、約150年にわたり、代々の住職壇信徒の努力による幾度かの改修工事を経て、その姿を現在に留めております。
 しかしながら長年の風雨による老朽化は避ける事がかなわず、特に瓦葺きの屋根部分の劣化が顕著です。近年の震災に対する防災意識の高まりの中、当山でも境内周囲の塀の改修などを行ってきましたが、山門に関しても屋根の崩落などの危険性から、早急な対処が求められる状況と成っておりました。
 そこでこの度、光明院山門改修工事と、その際に生じる諸費用に対する檀徒の皆様からの浄財寄進の御願いをする事となりました。
 府中は空襲が無かった事により、古い社寺建築が比較的残っている街です。しかしながら本堂を初めとする伽藍は、時代の変化と共に改築・新築が進み、昔の姿を留めるのが困難です。多くの場合、寺院の古い歴史を物語るのは山門であり、当山においても同様です。また山門は寺院の玄関口であると同時に、檀徒であれば全ての方が、今生での営みを終えて、それぞれの墓地に赴く際には必ず通る、彼岸への門でもあります。
 この光明院代々の歴史と信心で支えられた山門を、現在を生きる当山僧侶と壇信徒の皆様一人一人の手でもって、未来の子々孫々にまで残してゆきたいと思っております。それ故に今回の山門改修事業を、法人(寺院)による一般営繕修理ではなく、寺院と壇信徒の皆様との共同参画事業と位置づけました。なにとぞ多くの壇信徒の皆様による御賛同、御協力を伏してお願い申し上げます。


平成17年12月吉日

梅花山光明院 第20世住職 小川亮昌
梅花山光明院 檀家総代会    一同
梅花山光明院 世話人会     一同


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光明院山門改修工事概要



 改修内容


 @屋根の葺き替え
 瓦葺きの屋根を銅板葺きに葺き替え、本来の茅葺きであった頃の形状に復元しました。
 (図01は、まだ屋根が茅葺きであった昭和二十年代の山門の姿)

 瓦葺きから銅板葺きに変える事で、屋根の重量を大幅に軽減する事が出来、柱への負担を緩和し、耐震性を向上させました。
 また本来の茅葺き屋根の形状を復元する事で、瓦葺きにした事による軒の長さの収縮を回復し、柱への雨の当たりを軽減しました。


 A懸魚(げぎょ;図02参照)の復元
 懸魚(屋根側面の破風下に取り付けられている部品)が、当山の山門には存在しません。紛失したか、あるいは初めから無かったかは今となっては分かりませんが、これを新たに製作しました。
 (→懸魚についての歴史など、詳しい解説は「こちら」を参照)


 B根巻き
 柱の根元を銅板で巻き、風雨から保護します。


 Cかまち(けっぱなし)の復元
 現在紛失している、山門をくぐる際に跨ぐ化粧横木を復元しました。

図01

図02



 着工
  平成18年1月28日

 竣工
  山門本体:
   平成18年5月3日
  土台部分:
   平成18年5月19日

 施工業者
  株式会社カナメ
  戸倉工業株式会社

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改修工事状況報告


平成18年1月28日

平成18年2月21日

平成18年2月23日

平成18年3月5日

平成18年3月14日

平成18年3月15日

平成18年4月13日

平成18年5月3日

平成18年5月9日

平成18年5月19日

平成18年5月25日


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平成18年1月
28日


 山門改修工事が始まりました。

 約半世紀にわたって、山門の屋根を覆っていた瓦が取り外されました。

 瓦葺きに合わせて作られた古い野地板などが外されます。


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平成18年2月21日


 構造があらわになりました。
 この部分は建造当初の物の様です。

 いざ、屋根を開いてみると、重い瓦に耐えていた建材が、ずいぶんとゆがんだり、外れたりしていました(矢印部分等)。

 ゆがんだり外れたりした部分を補修して頂いています。


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平成18年2月23日


 新たに野地板を作っています。

 この上に、屋根の形を作る骨組みが組まれていきます。


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平成18年3月5日


銅板で茅葺き屋根の形状を再現する為に、木の骨組みを作っている所です。



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平成18年3月14日


 屋根の形が出来上がりました。


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平成18年3月15日


 屋根をふさいでしまう前に、棟札を納めます。

 矢印の部分に、棟札を納める為の最後の開口部があります。

 開口部。

 開口部から中を覗く。


 山門建造の時から、代々改修工事の際に納めた棟札を順番に重ね、一番上に今回の改修工事に伴う棟札を乗せました。
 この後、晒し布を巻き付けて棟に固定し、屋根を閉じました。



 銅板を張る為の下地が張られていきます。


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平成18年4月13日


 いよいよ銅板が張られていきます。


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平成18年5月3日


 山門自体の改修工事が終了いたしました。

 この後、土台と階段部分の改修工事が始まります。

 茅葺き時代と同じ姿に戻りました。
 瓦葺き時代と比べると、高さも幅も大きい姿に成りました。
 破風部分に、懸魚(げぎょ)が新しく取り付けられました。

 かまち(化粧横木)が復元されました。
 随分と削れてしまっていた台座の石も取り替えられました。

 柱の根元を保護する為に、銅板による根巻きが施されました。


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平成18年5月9日


 古くなって亀裂も入っていたモルタルの土台と階段の改修工事が始まりました。



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平成18年5月19日


 山門改修工事が終了いたしました。

 古くなった瓦の屋根が葺き替えられ、昔の茅葺き時代の屋根の形状が復元されました。

 土台と階段も新しくなりました。

 古くなったモルタルの土台と階段を、石で舗装した新しい物に作り替えました。


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平成18年5月25日


 毎年恒例の施餓鬼会の前に、壇信徒の皆様列席の中、山門落慶法要を勤修致しました。
 前日は猛烈な雨と雷という天候でしたが、当日は抜ける様な青空の下、落慶法要を勤修する事が出来ました。

 法要の中では、無事に山門改修工事が終了した事を本尊様に報告申し上げ、住職による山門加持を行いました。

 山門の半世紀ぶりの改修により、光明院の歴史に新しいページが加わりました。
 未だ白く浮き上がった新しい木材や、銅板ですが、やがて色も落ち着き、古くからの部分と混じり合う事と思います。

 代々住職及び壇信徒の方々から受け継いだ山門を、皆様と共に改修、更には未完成だった部分を補修する事が出来た事は、無上の喜びです。
 子々孫々と受け継がれ、永代にわたって光明院山門として、守り伝えていける事を祈念して止みません。



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